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狭衣物語(さごろもものがたり)

−解説−

■作者
六条斎院宣旨(賀茂斎院である後朱雀天皇皇女禖子(ばいし)内親王に仕えた女房。源頼国の娘)
■成立年
内親王が斎院を降りた1058年から、宣旨が没した1092年まで。特に1060〜1070年あたりが有力。
■あらすじ
帝の弟である堀川関白の一人息子・狭衣と五人の女君たちが織りなす、宿世と憂愁に満ちた恋愛物語。
狭衣は、兄妹のように育てられた従妹の源氏の宮を人知れず恋しているが、拒絶され続ける。その傷心を、偶然出逢った飛鳥井の女君に慰められるが、身分低い女君に素性すら明かさない。狭衣を信頼しきれない女君は、身重の体で自分の乳母にだまされ筑紫へさらわれそうになり、船上で入水を決意する。
帝の鍾愛の皇女・女二の宮と婚約した狭衣であったが、気が進まず拒否し続けながらも、あろうことか強引に契りを交わし、宮は懐妊してしまう。狭衣の誠意を疑う宮と、後悔と未練にさいなまれる狭衣。一方、ご神託により、源氏の宮は賀茂の斎院へ。
厭世の思いで参詣した粉河寺で、狭衣は飛鳥井の女君の身内である僧に偶然出会う。
女君の忘れ形見の女児会いたさに、女児が引き取られた皇女一品宮の邸に忍び込んだところを目撃され、心ならずも一品宮と結婚しなければならなくなる。
夫婦仲は、終生冷めきったものであった。
運命のつれなさに出家を決意した狭衣だったが、賀茂明神のお告げにより、父関白が出家を阻止する。
現世を生きるしかない狭衣は、源氏の宮にうりふたつの式部卿の宮の姫君に慰めを見出す。
天照大神のお告げで狭衣は即位。だが、帝位の栄光とは裏腹に、狭衣の憂愁は尽きないのであった。


『狭衣物語』は、源氏物語の摸倣・再現が目的で作られています。
独創性のある新奇の物語より、『源氏』の読後感を味わわせてくれる作品を、当時の読者層が要求していたからに他なりません。
しかし、主人公である狭衣は、光源氏のように次から次へ快活に姫君のあいだを渡り歩く、恋の狩人的な性格を与えられているわけではなく、躊躇と不決断に満ち、はつらつさもなく、不本意の場合に拒否するという意志もない、そんな人物設定がされています。現代では人格破綻者と言われそうですが、これが当時の京の貴族社会の典型的人物像。身分階級がギッチギチに決まってて動かしようのない現実に、抵抗することを忘れてしまった公達たちの姿だったのです。
亜流『源氏』筆頭のこの物語、拙い訳ではありますが、どうぞお楽しみ下さい。



<登場人物紹介> 
■狭衣
この物語の主人公。後に帝となる。
■源氏の宮
先帝と中納言娘との子。両親が亡くなった後、堀川夫妻に引き取られる。東宮の即位とともに斎院となる。
■堀川大殿
狭衣の父。故院の息子。当帝と兄弟。
■堀川上
大殿の北の方。先帝の兄妹。幼い源氏の宮を引き取る。
■坊門上
堀川大殿の妻の一人。式部卿宮の娘。当帝の中宮を娘に持つ。
■洞院上
堀川大殿の妻の一人。太政大臣の娘。子供がいないために、出来のよくない姫を引き取る。
■当帝
今上。後に出家して、嵯峨院となる。
■皇太后宮
大宮。当帝との間に、女一の宮・女二の宮・女三の宮がいる。
■女二の宮
当帝の皇女。狭衣の子を出産した後出家して入道の宮となる。
■若宮
狭衣と女二の宮との間の子。当帝と大宮の子として育てられる。
■一条院
東宮の父。当帝・堀川大殿と同腹の兄弟。
■一条院皇后宮
女院。一条帝との間に、東宮と一品宮を産む。
■東宮
次代の帝。後の後一条院。
■姫君(一品宮)
東宮の妹姫。飛鳥井腹の小姫を預かる。後に狭衣と結婚。
■飛鳥井女君
故帥の宮の娘。狭衣に愛されるが、狭衣の家来に横恋慕されさらわれる。狭衣との子を出産した後、死去。
■飛鳥井腹の姫君
狭衣と飛鳥井女君の間の子。一品宮に預けられる。
■宮中将
故式部卿宮の息子。後に宰相中将となる。
■宰相中将の妹姫
故式部卿宮の娘。狭衣に愛され、後に藤壺女御となる。
■飛鳥井女君の乳母
主計算頭の妻。打算的で女君を売り飛ばそうと画策。
■道成
狭衣の乳母子で側近。飛鳥井女君をさらう。
■道季
狭衣の乳母子で側近。道成と兄弟。狭衣への忠誠心がある。
■中納言内侍典侍
女二の宮付き女房。狭衣との手紙を取り持つ。
■大弐の乳母 :狭衣の乳母。
■弁の乳母  :宰相中将の妹姫の乳母。
■山伏     :飛鳥井女君の兄。
常磐
尼    :飛鳥井女君の伯母。



■ 本文 ■
その一 その二 その三 その四 その五 その六 その七 その八 
その九
 その十 その十一 その十二 その十三 その十四 その十五 
その十六
 その十七 その十八 その十九 その二十(完)
 
             

      

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