狭衣物語



  
その二


やがて四月も過ぎ、五月になった。四日のある夕方、狭衣の中将は内裏から帰る途中、往来を行くどの男も菖蒲の根を腰に下げているのを見た。貴族や町家に売り歩く田舎男共だ。菖蒲を持ちすぎてもてあましているさまに、

『…あれほどたくさん菖蒲を取るからには、どれほど苦労したことであろうか。見れば、どの男たちも足元がひどく汚れている』

と驚く。菖蒲の根を見るにつけても源氏の宮が思い出されて仕方がない。

狭衣の乗っている牛車の前を、顔も見えぬほど菖蒲に埋もれて歩いている賤男がいた。牛車の歩みを邪魔する格好になっていたので、随身たちが仰々しく声を荒げて男を追い立てるのを、狭衣は中からながめて、
「重そうに歩いているのを、そんなに言うものではない」
とやんわり言う。随身たちは、
「貴人の前を堂々と邪魔して歩く者など、こうしてやればいいんですよ」
と、勢いづいて答える。聞き苦しく情けないことを言うものだ、と狭衣はためいきをついた。重い菖蒲を持ち歩く男の苦しさが、まるで源氏の宮を思う苦しさに重なってみえるようだ。
いろいろな屋敷が菖蒲を葺(ふ)くのに大騒ぎだ。その様子を牛車の窓から眺めながら、狭衣は、とても小さな庵に菖蒲がたった一筋置いてあるのに気が付いた。ひどく不自由な生活をしているようなみすぼらしい家だが、それでも風情な気持ちがあるのだな、と狭衣は感心し、横笛を取り出し忍びやかに吹き鳴らし始めた。夕映えが窓から射しこみ、まことに光る美しさである。
只者とは思えない牛車の様子と笛の調べに、「どなたが乗ってらっしゃるのかしら」と家々の中から女房たちの騒ぐ気配がする。どこかの若い女房が一人、軒端の菖蒲を一筋引いて文を大急ぎで書いて、みめよい女童に持たせ、牛車を追わせた。女童は随身に導かれて狭衣のところへいき、文を見せた。

『…あなたはどなた?葎で荒れた我が家の門に、立ち寄っていただきたいものですわ』

とある。狭衣は、色好みの女性もいるものだなあと思いながら微笑んで、
「こんな物好きな方は、どこの誰だい?」と聞いてみるが、女童は答えない。狭衣は仕方ないので懐から金泥の経紙と取り出し、かたかなで、

『…どの家も一様に菖蒲が差してあるものですから、あなたの家の見分けがつきませんね。改めてお尋ねしましょう』

と文に書き、女童に持たせた。女童の帰るさまを見て、供の者に「童のあとをつけて確認してまいれ」と言い渡した。

『こんなぶっつけの恋愛もあるのだな』
と狭衣は思うが、それにつけても禁じられた源氏の宮への恋心が、狭衣を苦しいほど追い詰め焦がれさせる。
自分は、気軽な恋愛に逃げているのだろうか。


明けて五日、狭衣はしかるべき間柄の人たちのもとへ、薬玉に添えてお文を贈った。紙の色、それに描かれた下絵の趣など、人より優れたお手紙の様子がはっきり表れ、贈られた方々が夢中になりそうである。
左大将の娘で今は東宮の女御であられる方が、宣耀殿女御としてたいへん羽振りをきかせられていたが、どういう機会があったのか、狭衣中将にほんのすこし逢ったことがある。が、東宮女御の身、どうして狭衣の思うままにできようか。お文を交わす事さえ難しい。ままならない逢瀬に狭衣はいっそう思いが募る。
上皇の姫君(東宮の御妹)も、以前お会いした時の並み一通りでない気品ある様子に、狭衣は「姫宮のご容貌をもっと近くでみたいものだ」と焦れている。姫宮付きの女房で少将の命婦のもとに、姫宮あてのお手紙を贈られた。

『…沼の菖蒲が水の中で人知れず朽ちてゆくように、私の恋もあなたにお伝えできぬまま朽ちていってしまうのでしょうか』

このように、狭衣からのお文は今日一日で多くの女人のもとへ渡ったが、同じような内容なので詳しくは書かない。しかし、狭衣の本音は、ひたすらに源氏の宮のことのみを思い打ち明ける事もできず、濃き香染の直衣一枚と紅の単衣を着て、生絹の指貫から足を出さず袴の内側を踏みつけるようにして足を包んで、池の菖蒲の涼しげに群れているのを眺めていた。
女人たちのもとからお文の返事が返ってきた。たくさんのお手紙の中で、宣耀殿の女御の手蹟がすばらしい。内容も、東宮に比べて、狭衣の事を粗略には扱っていない様子である。狭衣は、もしや宮中に参内した折に、宣耀殿にお会いできる機会があるかと密かに期待するのだった。
ある日、宮中に参内するため、まず父堀川大殿のもとへ伺った。
「内裏よりお召しがありましたので、行ってまいります。中宮のご様子を見て参ります」
「中宮がご病気であられるそうだな。私も心配で、ご様子が気にはなっているのだが、私自身も風邪でな。今上が宿下がりをお許しになって、宮中退出の許可を与えてくださればよいのだが」
と大殿がつぶやく。
狭衣は、金銀で模様を浮き出しにした象嵌の紅の単衣、その上に同じ紅の直衣、色の濃い紫地に唐撫子を織り出した模様の指貫を着る。その姿はすばらしくあでやかでなまめかしい。お召し物を身にまとった狭衣をごらんになった母斎宮の上は、
「なぜ、こんなに気にかかるほどに成長したのでしょう。ただ世間に普通に見られるような人のようであったら、着を揉む事もなく安心していられるでしょうに」
と涙を浮かべる。狭衣が出て行った後、女房たちも斎宮の上と同じく「ご心配されるのもごもっともですわ」「狭衣さまは、なんだか恐ろしい程までお美しくご成長なされました」と騒ぎ立てるのだった。


宮中は、特に昔のような端午(たんご)の節会などは行われない夜で退屈だった。空模様も雨が降りそうな気配である。つれづれの慰めに、東宮と共に今上の御前に参り、御物語などを始める。御前には、権中納言・左兵衛督・宰相中将などの若上達部などが伺候している。そこに狭衣中将も加わった。
うっとうしい五月雨の夜空。帝は狭衣が来たのを喜ばれ、「今宵の宴には、皆、己のありったけを尽くして琴や笛など奏楽申せ」と仰せられる。東宮は、おもしろい一夜になりそうだと、ご秘蔵の楽器を居並ぶ人々に手渡される。中納言には琵琶、兵衛督には筝の琴、宰相中将には和琴、狭衣の中将には横笛、式部卿の宮の少将には笙の笛などなど。これらは当代きっての名高き上手でもある。さらに帝は続けて、
「各自、与えられた楽器を一人ずつ技の限り尽くすように」
と、仰せられる。
「私の腕前は、確かなものではないですが、皆が一緒に合奏すれば、自然と趣深く聞かれますからね。一人一人分けて、私が一人やれば、聞きづらいものになってしまいます」
「いやあそれより、なにがしの中将が一人で万事を演奏して、それを帝がお聞きになればよろしいんでは?」
と権中納言たちが冗談めかして言う。帝は笑いながら、
「狭衣は、一つの楽器の演奏さえ拒否しようとしてあれほど強情なようなのに、ましてや人の代わりの演奏なぞ、絶対に吹くまい」と狭衣を責める。
狭衣は、
「まことに不愉快なご希望をなされるものですね。こういう音楽の技は、本人が隠そうとして隠せるものではありません。私は、この方面は得意ではありません。大体、父大殿は少しも私に音楽を教えた事はないのです」
と笛を引き受けられないわけを言うと、帝は、
「いやいやどうして。そなたが秘密にしている楽才なども、私はみな聞いている」
と仰せられる。狭衣は、めいめいが優れている中で、私などのようにまだ吹き方さえ知らない者の笛の音は、きっと調子がはずれてしまうだろうなあ、と思われて、笛に手も触れなかった。狭衣が、以外に強情な様子なので、帝は、
「私は、そなたが幼かった頃からそなたの父親に負けないくらい、そなたを可愛がってきたのだよ。それなのに、これくらいのつまらないことさえ、私の言う事を聞いてはくれないのだねえ」
と、本気で仰る。仕方がないので狭衣は畏まり、居ずまいを正して笛を取り、おぼつかなげに笛を持て悩み、
「笛の吹き方を存じませんで、他の楽器の音と混ざって合奏するのはいかがでしょうか」
とひどく困った様子である。帝も本気で怒っておられるわけではないので、狭衣の困った様子をいじらしく思われる。他の人たちも、今宵は格別趣深い音楽会だと、お互いが張り合って交互に演奏するさまは、いつも合奏しながら帝がお聞きになられる音よりも、まことに興味深いものだった。
狭衣の笛の番がやってきて、帝は「さて、狭衣は吹くのか吹かないのか」とわくわくしておられる。そのお顔色がたいそう真剣なので狭衣は、「今宵の集まりがこのようなものだと知っていたら、参内しなかったのに」と後悔したが、笛を吹かなくては許してもらえそうにないから、初心者らしく笛を扱って、わざと、あまり知られていない曲を一つ二つ、吹いては止めてしまったのを、帝をはじめ、居並ぶ人たちは、
「評判には聞いてはいたが、これほどの音を吹く才能があったとは、よくぞ今まで聞かなかったことよ。口惜しや」
と感動する。狭衣は、
「これ以外はまったく存じておりません。この曲は、父が吹いていたしましたのを私が聞き取りましたのですが。父にはっきりと教えられた事もございませんので、どんなにか聞き間違いが多くございましょうか」
と言った。帝は、
「嘘つきは不愉快だな。そなたの笛はあの大臣には似てはおらぬ。その尋常でない音色は、いったい誰がそなたに伝授したものか」
と驚かれ、さらに、
「今までそなたのその腕前を、私に聞かせてくれなかっただけでも口惜しく思うのに。今宵は何としてでも私の心が満足するほどに吹奏しておくれ」
と無理強いなさる。そのご様子に狭衣は本当につらく思う。今頃は、帝の皇太后宮の姫宮などもこの清涼殿のすぐそばの弘徽殿においでになっている頃であろう。そのような奥ゆかしい方にまで自分のつたない音色を聞かせてしまうなんて、と困惑気味だ。
月もとうに西の山の端に沈んだ。御前の灯篭の火もあかあかと燃え、火にあざやかに映える狭衣は柱によりかかりて、困惑しつつ笛を吹き始めた。
その音色は雲の上まで澄み昇るようで、伺候している人々はもちろんの事、離れた後宮の人さえ笛の音に驚き涙を落とす。五月雨空が、なんとなく気味が悪い天候であるので、笛の音に誘われた魔物でも現れるのではないかと誰もが思うほどである。
この音を父大殿が聞きでもしたら、他人よりもいっそう不吉な事だと思うに違いないと、狭衣はつらくて涙が出てくる。
夜が更けてゆき、笛の音はますます澄み渡ってゆく。やがて、中天の果てまで空じゅう残らず異様な雰囲気に包まれた。急に寒い風が吹き、稲妻が光る。それなのに、星が月のように耀き始めた。御前の人々は、絶え入りそうな心地で身を寄せ合っている。それでも狭衣は、何かに取り憑かれたかのように吹き続ける。すると、不思議な音色が空に広がり、楽の音が聞こえ始めた。
帝・東宮をはじめ、御前の人々は「どうしたことか」とおののいている。そんな中で狭衣の中将だけが、日ごろめったに吹かない笛の音を、秘曲の限り、あますところなく吹き鳴らしながら、

『…稲妻の光をたよりに空へ昇ってゆこう。だから、広い空に雲のかけはしをわたしておくれ』

とつぶやいた。
月の都に願いが聞き届けられたのであろうか。空に広がって響く不思議な楽の音に惹かれ紫の雲がたなびき出したかと思うと、童姿の天の若御子が羽衣をまとって降りてきた。そして狭衣に近づき、かげろうの羽のような透きとおった羽衣を狭衣にかける。狭衣はこの出来事がこの世のこととも思えず、天人のすばらしい様子に心引かれてついて行ってしまいたい誘惑にとらわれる。狭衣は、帝や東宮に、

『私が幾重にも重なった雲の上に昇ってしまったら、あなた方は大空を私の形見と思ってくださいますか』

と、ひどくはかなくさびしい様子で問いかけた。狭衣は、天人と共に今にも空に昇ってしまいそうである。帝も東宮も、「決してそうはさせない」と、狭衣の手をつかんで離そうとしない。それを見た天人の御子も心苦しく思い悩む様子で、

「…何事につけても、狭衣は人間の世には度の過ぎた存在。その笛の妙なる音色にこらえかね天より迎えにまいったのに、このように帝が泣く泣く止めようとするので、今宵連れて行くことができなくなってしまった」

と言われる。狭衣は、
「以外にも残念にも、このように多くの束縛に引きとめられて、今夜あなたさまと共にゆくことができそうもありません」
と、空にむかって言う。
まもなく空の気配は消えてしまった。
帝は、
「狭衣の、天人の生まれ変わりとの噂は本当のことであったか」
と改めて思う。
狭衣の中将は、天人の御子のめでたき姿がまだ目に焼きついて、面影が恋しく空の方をじっと眺めている。その狭衣の様子が、今にも天に昇ってしまいそうに感じられるので、あわてた帝は何としても狭衣の気をまぎらわせようとして、
「大臣に据える、といっても狭衣はちっともうれしくないだろう。ではどうすればよいのか」
とお思いになり、皇太后宮の姫宮三人のことを思いついた。女一の宮は現在の斎院であり、二の宮はご容貌・お心ばえがたいそうすばらしく、帝のご秘蔵っ子であられる。その女二の宮を臣下に嫁がせる気持ちなどまったくなかったが、今宵の出来事に、
「私が泣く泣く狭衣を引き止めておいて、なんの恩賞も与えずに捨て置いたとしたら、まったくよくないことだ」
とお考えになり、
「この女二の宮の美しさを見れば、狭衣はもう天にも憧れることはないだろう」
と、女二の宮を狭衣に降嫁させようと思いつかれたのであった。


「宮中でなにかあったのか。騒がしいようだが」
と堀川大殿が女房らに尋ねる。屋敷の蔵人の詰所に問い合わせると、家司が、
「内裏でしかじかの事件がございましたようです。したがって狭衣様は帰邸が遅くなるかもしれません」
と奏上した。大殿は、
「なんたること、なんたること。あまりの美貌と才能に、この世の人とも思えないようなわが息子ではあったが、天から迎えが来るとは」
と斎宮の上と共に、現実のこととはおもえないほど動転している。
「とにかく、一度参内して事態を伺わねば」
大殿は我に返り、大急ぎで参内の準備をする。母斎宮の上は、ただただ御衣を引き被って息を殺して泣いている。
大殿はただもう大急ぎで牛車を走らせていた。あるいは狭衣はもう昇天してしまったのではないか、と考えただけで、胸もつぶれる思いである。参内の道のりがひどく遠い。
無我夢中で宮中に入ると、あたりは拍子抜けするほど静かであった。あちらこちらに焚かれている灯篭の火が、点在する下賎の者たちを照らしていた。皆一様に「天人の生まれ変わりの狭衣さまよ」「降りてこられた天人より、狭衣さまのほうが美しかったことよ」などわめいている。その様子に大殿は、もう狭衣は昇天してしまったのだ、と気が狂いそうになった。しかし、殿上の間の入り口に狭衣の姿を認め、安堵と共に涙があふれた。
大殿はようやく落ち着き、帝の御前にすすまれた。帝は不思議な出来事をありのままお話になる。大殿はすべて現実のこととも思えず、
「何事も、特別に言い教えた事はございません。男子たるものの必要最小限のことを世間並みに教えてきただけでございます。ましてや、琴や笛などの音楽は遊び半分にも習わせてはおりません。どうしてこのように世間の話題になるほどのすばらしい音を得たのか、私にはさっぱりわからないのです。神のお告げ、とでもいうのでしょうか」
と述べる。
「狭衣は、私どもにはたった一人の息子でございます。この世に生きていてくれるだけで十分なのです。身に余りある才能など要らないのです。そのような才能のために、我々親がどれだけ心配しておりますことか。もしそのような才能に惹かれてやってきた天人に昇天させられたとしたら、私ども親は明日まで生きてはいられませんでしょう」
大殿の悲痛な言葉に、今上をはじめ居並ぶ人々すべて涙で袖を濡らす。狭衣は、すっかり後味の悪くなった管弦の宴に黙り込んでいた。そして今上の、

『…天の羽衣を着せなかった代償として、私の身に付けている羽衣を与えよう(女二の宮を与えよう)』

とのお歌に、狭衣はわずかに心を動かした。しかし、

『…今上の御厚意はありがたいですが、天の羽衣の代わりに源氏の宮を下さるならば、私にとってはずっと着勝りがするでしょうに』

と返歌する。というのは、源氏の宮も女二の宮も、狭衣にとっては血縁の離れない間柄であるからだ。しかし今上はなんとか聞き分けさせようとする。

ようやく夜も終わろうとしている。皆それぞれ退出し始めた。狭衣も、父大殿と共に牛車に乗り込んだ。
狭衣が無事帰邸して、母斎宮の上の安堵はいかばかりであったろうか。心配のあまり、狭衣自身の御手水やら食事やら、身の回りのお世話を手ずから世話する。「今夜は私たちの母屋で過ごすようにしてくださいな。」と言うほど、ほんのちょっとでも狭衣から離れようとしない。
母屋に設けられた御座(おまし)で狭衣はぼんやりと天人の御子の面影を思い出していた。天上の世界がたまらなく恋しい。
『やはり自分はこの世に生き長らえない運命なのか』
とも思う。
木幡の僧都が加持祈祷にやってきた。大殿などもつきそって、念入りに念仏を唱える。事件の事や女二の宮の降嫁など、今後のことを家司たちと相談する。狭衣はそれらの話を聞き、
『女二の宮のことは大変晴れがましいが、やはり私は源氏の宮が恋しい。同じ紫のゆかりならば、源氏の宮を妻にしたいのに』
と思い悩む。
夜が明けた。雨が降ったらしく、軒端に差した菖蒲が雫にぬれている。空は晴れ渡っていた。夜明けの山際が美しい。ほととぎすが、語りかけるようにさえずっている。
父大殿と母斎宮の上がやってきた。
「夜通し起きていたのですか。五月は忌むべきものが空を飛び交っているといいますのに」
「五月は悪月というからな。精進するように。僧どもにも、格別な祈祷をさせよう」
など言う。狭衣は、親がしきりに心配してくれるのがお気の毒だと思って、
「どこにも行きませんよ。ご心配なさらないで下さい」
とつとめて明るく答える。

しばらく宮中では、この事件の話で持ちきりだった。朝廷でも、この事件を記録に留めた。現場に居合わせなかった貴族たちは、口惜しがった。